またの冬が始まるよ


“誤解の正しい解き方は?”




     おまけ


暖冬だったのをひるがえし、
そりゃあ厳しい寒さが風雪伴ってまかり越したのへは、
大変だねぇと微妙に他人事で済んだのも、
思えば…一番好きで一番大切な人と
手を伸ばせば届くくらい
ふと視線があって微笑みあうとその吐息がかかるほど
すぐ傍に居られる至福の中にあったからなんだろうなと。

 「カップケーキに何つける? あ、ハチミツもあるよ?」

そりゃあ寒かった外から帰ったその眼前、
その大切な人がそれは無造作に大事な爪先を他人へ預けてたのが
何かあのその、途轍もなく衝撃的だったものだから。
今にして思えばよくある言い回し、
私というものがありながらとか、
私には内緒でそこまで仲良しさんだったのかとか、
そんな気持ちがぐるぐるしちゃって、
居ても立ってもいられずに回れ右しちゃったイエスだったのだけれども。

 “そうだよね、梵天さんはブッダの守護天部で
  いつだってお父さんみたいに心配してくれてる人なんだし。”

その方向が斜めなのは、
まま世代の差ってもんでしょうがないよね、
ウチだって似たようなもんなんだしと。
そこのところはイエスもまた
ちょっぴり斜めな把握をしているようながら、
そうと判ってたはずが、
うわぁとショックだったのはどうしてだろうかなんて、

 『…これって焼きもちなのかなぁ。
  私、梵天さんに ブッダは私のなんだからってムッとしちゃったのかなぁ。
  それともキミへ、
  何をよその人にもそうまでも…って、ムッとしちゃったのかなぁ。』

新たなハテナに小首を傾げつつ。
暖かいお茶の支度を進めておいでの
愛しい如来様のまろやかな背中に懐くように貼り付いたまま、
打って変わっての嬉しくも幸せな気分に
すっかり浸っておいでなヨシュア様だったりし。

 “うん。まろやかなっていうのはいい表現だよね。”

柔らかで暖かで、触れているだけで蕩けてしまいそうになる幸せな感触。
ぎうって抱きしめたらもっと幸せになれて、
逆に包み込まれちゃったりしたなら
嬉しいが過ぎて泣きそうになるような、
そんな優しい存在のことだよねぇと。
懐の中、時々右見て左見てという動きをする螺髪を見つめ、
双腕でくるみ込んでいる柔らかな存在の
働き者な二の腕や暖かな背中、やさしい肩などなどを
セーター越しに感じては。
お口の上のお髭ごと、隠し切れない微笑みに口許たわめてしまっておいで。

 “…ねえ、気がついてる?”

あんまり唐突だとさすがに驚かせてしまうけど、それでもあのね?
こうやって抱きすくめると、最近のキミは
緊張して跳ね上がるってことは もうしなくなったよね。
安心しきってのことだろう、
緩やかに弛緩するその肢体を くすぐったそうにうねらせて。
時々なまめかしく思えるくらいに
それは優雅にもしどけなく、
凭れかかって甘えてくれるようになったものね。
それはまるで、大人同士の恋にふさわしい所作事みたいで。
私はこっそり、いつも以上にドキドキしながら、
それと同時、
うかうかしてたら置いてかれないかなと 胸の奥でさわっと焦りもしているの。

 「はい、出来ました。向こうで食べようねvv」
 「え? あ、ううううん。/////////」

窓の外はいいお天気になるものか、陽が顔を出していたけれど。
風はまだまだ寒かったの思い出し、
腕の中のまろやかな温もり、
大事そうにぎゅうと抱きしめた神の子様だったりするのであった。




   〜Fine〜  16.02.02.


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 *今日は“夫婦の日”だそうなので、
  ちょこっとおまけというか、
  ブッダ様ばかり慌てふためかせたのでは不公平かなと。(笑)


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